【OMX-ADMのよくあるご質問】





 【測定の留意点、具体的な手順などに関する項目】 機器の保守に関する事項 【におい測定に関する基礎知識】



〔1〕, 測定の留意点、具体的な手順などに関する項目
 Q1.どうして電源を入れて直ぐに表示が始まらないのか?
 
Q2.同じ対象を計っているのに、計るたびに違う強度・傾向参考情報値が表示されるのは何故?
 
Q3.濃いにおいを薄める方法は?
 
Q4.少量の試料空気のにおいを測るには?
 
Q5.ゼロ点を正確に合わせたい。


 Q1.どうして電源を入れて直ぐに表示が始まらないのか?
 A1.においを検知するガスセンサのクリーニング及びガスセンサ感度特性の安定待ちのためや、
   吸入空気の流通系に付着したにおいが抜け出るのを待つ時間として10分必要とするためです。
   ガスセンサは一般に無通電の状態から通電状態になった直後は、酸素の吸着状態変化や
   吸着ガスの脱気が完全に終わっておらず特性が不安定になります。
   本機に使用されている半導体ガスセンサは非常に短時間でほぼ安定状態に達するものを
   使用していますが、においを測るには特に安定な状態が要求されます。
   この為、通常のガスセンサ加熱温度より高い加熱をするとヒートクリーニングによって安定化
   の時間を短縮し、通常加熱温度に戻してからも十分安定するのを待って測定を始めます。
   このための最低の時間として10分の待機時間を設けています。
   さらに精度良く測定したい場合や長時間測定を続ける場合には30分程度通電してマニュアルで
   ゼロ点調整をしてからご使用ください。
   流通系ににおいが多量に付着している場合も、清浄空気中で十分吸引を続けたあとでご使用
   ください。

  Q2.同じ対象を測っているのに、測るたびに違う強度・傾向参考情報値が表示されるのは何故?
  A2.次のケースが考えられます。

   (1),ゼロ点が測定のたびに変化している場合
     においの強度は本機に内蔵された2つのセンサの感度を基に計算しています。
     そしてこの感度は、それぞれのセンサの清浄空気中抵抗値(RO)と、においを検知した
     ときの抵抗(R)の比(RO/R)として計算されます。ゼロ点とはこのROのことです。
     したがって、ゼロ点がずれておると、感度はもちろん傾向参考情報値もずれてしまいます。

   (2),測定対象以外のにおいやガスが混在する場合
     測定対象以外のにおい、例えばアルコールのように同じ物質濃度でも官能的なにおいの
     強さは比較的弱いが、センサーに感度の高いにおいが混在したりすると、当然ながら強度
     の値は測定対象だけの場合とは異なってきます。

   (3),測定対象から出てくるにおい成分の濃度などが変化している場合
     コーヒーなど固形物や液体から立ち上がってくるにおいは、試料の鮮度、温度、雰囲気の
     湿度、試料の表面積などによって異なります。
     これらの要素をそろえて測定してください。

  Q3.濃いにおいを薄める方法は
  A.3においの物質濃度が高すぎてにおい強度がレンジオーバーする場合は、薄めてから
    測定することが必要です。

    <数倍〜100倍に薄める場合>
   (1),ノズルやチューブを通して本機に吸引可能な接続口を持ったガスバッグを用意してください。
     密閉でき、数分間吸引するのに十分な空気の入る容器(数リットル)のものが必要となります。

   (2),測定対象のにおいを含む空気を一定量注入し、次に一定量のにおいのない清浄空気で
     薄めてください。
     この際、予め目的の希釈度が得られるよう、においを含む空気と清浄空気の量を計算して
     おいてください。
     清浄空気は活性炭フィルターを通したものを使用します。
     ドライエアやボンベエアは使用しないで下さい。また大きく湿度の異なる空気を使用しない
     ように気をつけてください。

   (3),次に本機のゼロ点調整、その他の準備を行い、まずにおいのない状態でのベース状態を
     確認してください。

   (4),本機の吸引ノズルをガスバッグに接続して測定を開始し、におい強度の指示値が上がり
     安定するのを待ち、強度を記録してください。

   (5),本機とガスバッグの接続を外し、本機を清浄空気中に移して強度が低下するのを待って
     測定を終えてください。

    <100倍以上に薄める場合>
   (1),後述【A4】の場合と同様、測定容器を用意してください。

   (2),次に本機のゼロ点調整、その他の準備を行います。

   (3),本機を容器内に閉じ込め、においのない状態で短時間測定を行いベース状態を確認
     または記録ししてください。

   (4),測定対象のにおいを含んだ空気を必要な濃度となるように計測した上で容器内に注入し、
     におい強度の値が上昇し安定するのを待ち、においの強度を記録してください。

   (5),試料を取り出し本機を清浄空気中に移し、強度が低下するのを待って測定を終えてください。

  Q4.少量の試料空気のにおいを測るには
  A4.(1),接続口が2つあるガスバッグを準備してください。

    (2),測定対象のにおいを含む空気をガスバッグに取り込んでください。

    (3),次に本機のゼロ点調整、その他の準備を行います。

    (4),本機の吸引ノズルと排気口をガスバッグの2つの接続口につないで循環させて測定を
      開始します。
      におい強度の値が上昇し安定するのを待ち、においの強度を記録してください。

  Q5.ゼロ点を正確に合わせたい。
  A5.次の条件でゼロ点設定を行ってください。

    (1),A8の方法で本機空気流路ににおいが付着していないことを確認し、においや無臭ガスの
      ない清浄な空気雰囲気中で通電を開始してください。

    (2),ゼロ点調整の前には、30分以上通電して下さい。
      一旦電源を切った場合は再度30分以上通電してください。
      清浄な空気が得られない場合、空気が清浄かどうかわからない場合は、空気清浄ユニット
      を接続し、できるだけ空気が清浄と考えられる場所で通電してください。

    (3),尚、単3電池の交換をしたり、ACアダプタ⇔乾電池電源の切替後はゼロ点が変化する
      可能性があります。ゼロ点調整をやり直してください。




〔2〕, 機器の保守に関する事項
 Q6.付着して取れないにおいを取る方法は?
 Q7.付属の空気清浄ユニットに使用している活性炭の汚れや寿命を判断する方法は?


  Q6.付着して取れないにおいを取る方法は?
  A6.清浄空気中で動作中の本機の吸引ノズルの先に、石鹸で洗ったばかりの指先などわずかな
    においを発生しているものを近づけると、におい強度の指示値が少し上昇します。
    この時上昇が全く見られない場合は、本機の空気流通経路のどこかににおいが付着して
    汚れていると考えられます。

    (1),通常は清浄な空気中で長時間(数10分から数時間)吸引を続けると、除去できます。

    (2),それでも取れない場合は、清浄な空気中で測定しながらノズルを外してみてください。
      強度が下がれば、吸引ノズルか交換用フィルター(小)の汚れが原因と考えられます。
      交換用フィルター(小)を交換し、該当するにおいの成分を溶かすことのできるアルコール
      などの溶剤または水でノズルを洗浄し十分に乾燥させてください。
      汚染原因のにおい物質の沸点が低い場合はノズルを加熱(200℃以下)することも1つの
      方法になります。

    (3),それでも取れない時は、本機内部の汚れが考えられます。修理依頼をしてください。

  Q7.付属の空気清浄ユニットに使用している活性炭の汚れや寿命を判断する方法は
  A7.空気清浄ユニットの活性炭は、長時間の使用や高濃度での使用で、これ以上空気を浄化
    できなくなったり、かえってにおいの発生源になることがあります。
    下記の方法で活性炭の汚れや寿命を判断してください。

    (1),空気清浄ユニットを通した空気と清浄な空気のにおい強度を測定、比較した場合、
      ユニットを通した空気の方が明らかに高い指示値を示し、清浄空気を長時間吸引しても
      低下しない場合。

    (2),においのある空気中で測定しながら、空気清浄ユニットを接続してもにおい強度が
      低下せず、清浄空気を長時間吸引しても低下しない場合。

    (3),空気清浄ユニットの活性炭を直接嗅いではっきりとにおいがし、清浄空気を長時間吸引
      してもにおいが消えない場合。




〔3〕, におい測定に関する基礎知識
 Q8.本機で出来ることは?
 Q9.本機で表す臭気強度とは?
  Q10.温度や湿度は測定値にどのような影響がありますか?
 Q11.本機のウィークポイントは?


  Q8.本機で出来ることは
  A8.本機では測定しているにおいの相対的な変化に応じたにおいの強さレベルをデジタル表示
     しています。
     例えば、ある悪臭の脱臭前後の強度レベルの減衰の様子を見る、またはにおいの発生源
     から発生する臭気の推移などを見ていただくのに最も適しています。
     また、それらのデータを蓄積していただき、それらを定期的な官能試験のデータと比較対照
     することでユーザー様固有のテーブル(相関関係表)をお作りいただき、費用のかかる官能
     試験の回数を減らして、本機による簡易的な計測による日常管理が可能になります。

  Q9.本機で表す臭気強度とは?
  A9.アンモニア臭が混在されている、あるいはアンモニア臭の臭気強度表示が必要な方にご使用
    いただく機能です。
    本来の臭気強度は、人の嗅覚を0(無臭)〜5(強烈なにおい)の6段階で表しており、これを
    「6段階臭気強度表示法」といいます。
    ただし、この臭気強度は人間の嗅覚を数値化した、おおまかなものであり、個人差による
    バラツキがあります。
    また、同じ臭気強度の値であっても、ガスの種類によってその濃度は変わります。
    本機で表示する臭気強度は、測定されたガスを代表的なアンモニア濃度に換算し、臭気強度
    として2.5〜5までを0.1単位で表示しています。

  Q10.温度や湿度は測定値にどのような影響がありますか?
  A10.本機に使用している半導体ガスセンサーは、温度の影響は比較的軽微です。
     しかし湿度には影響を受けます。低湿状態では強度がやや大きくなり、高湿環境下では
     その逆の傾向が見られます。
     個々のにおい成分における温度湿度の影響の具体的データは、ご使用の条件に合わせて
     取得していただくようにお願いします。
     その際、高温下では測定容器自体からガスが発生しやすく、低温下では高沸点のにおい物質     の容器壁面吸着が増大し濃度低下が大きくなる恐れがありますので十分ご注意ください。

  Q11.本機のウィークポイントは?
  A11.●個体差(複数の製品での感度の差)がある。
    
     感度の個体差が一定の範囲であります。つまり、同じにおいを2台以上で測ったときに数値
     の一定の範囲内での誤差があります。
     但し、1つの機械で同じにおいを繰り返し測定するときの「再現性」があります。
     よって、1つの機械での繰り返し測定による比較は問題なく行うことが出来ます





    
☆神栄梶@ハンディにおいモニター OMX-ADM 取扱説明書より抜粋








 
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